みどころ

特別展「大地のハンター展」は、生命活動の礎ともいえるエネルギーを得るための行動「捕食」に焦点を当て、生物の顎と歯の進化、そして捕食の技の多様化を追いながら、自然の素晴らしさと地球環境保全の重要性を伝える展覧会です。国立科学博物館が誇る貴重な標本のコレクションを中心に、魅力的な300点以上の標本展示で構成します。
1超大型から極小なものまでハンターが大集合!

絶滅したものから現生のものまで、哺乳類、爬虫類、両生類、鳥類、昆虫類、節足動物が躍動!多彩な捕食者の姿を300点以上の圧倒的なボリュームの標本展示で紹介します。

超大型のものとしては、白亜紀に生息していた巨大ワニ「デイノスクス」の実物大生体復元モデルを、最新の研究成果をもとに国立科学博物館の研究員による監修で制作し、本展で初公開いたします!デイノスクスは中生代白亜紀に生息し、ティラノサウルス科の恐竜も捕食していたとされる全長12mにも達する大型ワニ類。強力な顎が生み出す噛む力は1cm2あたり1600㎏(ティラノサウルスは同900㎏)ともいわれます。

極小なものでは、血を吸うことでさまざまな伝染病を媒介しヒトを死にいたらしめる「カ」や、これまで感染した十数例のうち大半が死亡例ながら生態が謎の寄生虫「芽殖孤虫」など、人類にとって最強のハンターも登場します。

参考図版:アルバートサウルスを襲うデイノスクス
(Ⓒ日経ナショナル ジオグラフィック)

2貴重で美しい標本の数々に驚嘆

絶滅してしまった「ニホンカワウソ」の非常に貴重なタイプ標本(新たに種の学名を付けるための記載論文中で使用され、学名の基準として指定された標本)をはじめ、ハワイの日系二世実業家・ワトソン T. ヨシモト氏が後半生をかけて集めた哺乳類の美しい剥製で名高いヨシモトコレクション、テレビの動物番組に出演し人気を博した動物学者・千石正一氏が国内外で採集した貴重な両生類・爬虫類標本の千石コレクションなど、非常に価値の高い標本を展示。戦前のフィリピンで活躍した女性博物学者・山村八重子氏が所蔵していた超大型の「イリエワニ」の頭骨には、捕獲の際の名残か3発の弾痕が残る。国立科学博物館が所蔵する貴重な標本や協力機関が所蔵する重要標本が一堂に会し、ほかでは見ることのできない「捕食者の展示」が実現!

ニホンカワウソ

イリエワニ 頭骨

3大人気のハンターが勢ぞろい!画像や動画で、
生の姿を伝えます

「ライオン」や「チーター」などのネコ科哺乳類、「ワシ」や「ハヤブサ」などの猛禽類、「フクロウ」の大集合展示など、人気の高い動物標本が展示されます。また、大小さまざまな種類のワニ展示、特定の獲物しか狙わない偏食のハンター、毒使いのハンターなど、マニアックなテーマで切り分けた会場構成で、多様性に富んだハンターの姿を浮き彫りにします。さらに、それぞれの生き物の生態がよくわかる画像や映像もふんだんに展示します。

オオスズメバチ

ワシミミズク

展示構成

第1章
太古のハンター

遠い昔に栄え、そして絶滅した生物の系譜を追いながら、ハンターの起源と進化に迫ります。節足動物と脊椎動物の顎の成り立ちの違いや、中生代に活躍した両生類・爬虫類、新生代の大地に栄えた哺乳類など、太古に活躍したハンターを、化石や骨格標本を通して紹介します。

太古のハンターというと大型肉食恐竜が思い浮かびますが、恐竜が常に生息環境の頂点にいた訳ではありません。本章では恐竜を食べていたと推定されるワニ類や哺乳類などにも焦点をあて、太古の地球の多様性を示します。ワニは約2億3000万年前の三畳紀に出現して以来、現生までほとんど形を変えずに水辺の生態系に君臨し続けているハンター。恐竜絶滅後の大地には哺乳類が繁栄しました。「スミロドン」などがもつ大きな犬歯はハンターの強力な武器です。しかし実は犬歯の奥にある「裂肉歯」の進化にこそ、肉食哺乳類のハンターが繁栄した答えが隠されています。

ペルム紀の巨大両生類「エリオプス」
化石標本(複製)
(栃木県立博物館蔵)

ジュラ紀のワニの先祖
「ゴニオフォリス類」化石標本
(群馬県立自然史博物館蔵)

白亜紀の肉食の哺乳類
「レペノマムス・ギガンティクス」
化石標本(複製)

第2章
大地に生きるハンター

本章では、さまざまな地球環境に順応している現生のハンターを展示します。「水辺」、「森・密林」、「草原」、「荒野(砂漠・岩場)」の4つの生息域ごとに代表的なハンターを紹介するほか、「おびき寄せ・待ち伏せテクニック」や「暗闇」などの切り口で、ハンターの特徴を解説します。

水辺の
ハンター

動物は生きるために必要な水を得るため水辺にやってきます。このため必然的に多くのハンターも水辺に集まります。水辺に君臨する「イリエワニ」の4mを超える大型剥製や、巨大な「ヒグマ」、水を恐れずワニをも捕食する「ジャガー」、動かない鳥として人気の「ハシビロコウ」といった水辺でハンティングする動物を展示します。

イリエワニ
(北九州市立自然史・歴史博物館蔵)

ジャガー

ハシビロコウ

森・密林の
ハンター

陸地の3割を占める森・密林。森に潜み狩りを行う動物や、樹上に登り立体的に狩りを行う動物を紹介します。代表的なネコ科のハンターである「トラ」、長い犬歯が特徴的で現生のサーベルタイガーともいわれる「ウンピョウ」、群れで狩りをすることで知られる「オオカミ」などのほか、立体的に活動する「オオアタマガメ」や「トビトカゲ」などの珍しい小動物も紹介します。

オオカミ

草原の
ハンター

多くの草食獣が暮らす草原には、それを狙うハンターも多く生息しています。彼らの狩りの方法も多彩です。ネコ科では珍しく集団で狩りをする「ライオン」、跳躍力に優れた華麗なハンター「サーバル」、腐肉食というイメージがついてしまったが実は狩りが得意な「ブチハイエナ」。また、人気のスピードスター「チーター」や、強力な毒をもつヘビ「ブラックマンバ」など、特徴的なハンターを紹介します。

サーバル

荒野
(砂漠・岩場)
のハンター

砂漠や岩場など厳しい環境にも獲物はいます。これらを捕らえるハンターは、厳しい環境に適した体をもっています。大きな耳をラジエーターとして砂漠に生息する「フェネック」。高地の寒さに耐えうる長い毛をもつ「マヌルネコ」、山岳地帯の急峻な崖をものともせず狩りを行う「ユキヒョウ」など、厳しい生息域で暮らすハンターが集まります。

マヌルネコ

おびき寄せ・
待ち伏せ
テクニック

道具を使って獲物をおびき寄せるユニークな動物!おとりの昆虫を水に浮かべ餌となる魚をおびき寄せる「ササゴイ」、自らのピンク色の舌をミミズのように動かして魚を捕らえる「ワニガメ」、地中に半身を隠してじっと獲物を待つ「ベルツノガエル」などのユニークな動物を展示します。

ベルツノガエル

暗闇の
ハンター

25種類を超える世界中のフクロウの標本を集めた特別展示。魚食、鳥類・哺乳類食、昆虫食など食性によって異なる狩りの特徴を解説します。日本に生息する世界最大級の「シマフクロウ」をはじめ、フクロウをまとめて見られる稀有な機会となります。他にも夜空を飛び回るコウモリや、実は貪欲なハンターであるモグラ、地中で待ち伏せして狩りをする「パグガエル」など個性的な暗闇のハンターを取り上げます。

シマフクロウ

第3章
ハンティングの技術

ハンターは、獲物を狩るために最適な体の仕組みや技術を獲得、進化させてきました。特別な能力をもつハンター、特定の獲物しか狙わない「偏食」ハンター、「毒」を狩りに利用するハンターなどを取り上げ、その特徴を紹介します。また本章では、多様で優れた狩りのテクニックをもつ「トンボ」、「ハチ」、「クモ」、前脚がカマ状に収斂進化した動物などを特集します。

偏食なハンター展示される主な標本

アリ・シロアリを食べるために進化した口・舌をもつ「オオアリクイ」

ヘビは極め付きの偏食動物
卵しか食べない「ガンスタマゴヘビ」、爬虫類しか食べない「シロマダラ」、魚食、陸貝食のヘビなど多様な姿を映像で紹介

血・体液を吸うハンター
「カ」、「タガメ」、「マダニ」、「チスイコウモリ」など、血・体液を吸う動物を紹介

毒使いのハンター展示される主な標本

毒をもつ希少なトカゲ類で乾燥地に生息する「メキシコドクトカゲ」

体に比べ非常に大きな毒腺をもつ「ハラオビマタハリヘビ」

最近になって、毒をもっていることが判明した「コモドオオトカゲ」

昆虫・節足動物コーナー展示される主な標本
トンボスペシャル

身近なトンボの素晴らしさが
わかる!

世界最大の「テイオウムカシヤンマ」、世界最小の「ハッチョウトンボ」

生きている化石といわれ大変珍しい「ムカシトンボ属」

現生トンボの中で最も原始的とされる「ムカシイトトンボ」

クモスペシャル

クモ類の精緻で多様なハンティングテクニックを紹介!

投げ縄のように糸を操る「マメイタイセキグモ」

上顎付近から粘液を吐きかける「ユタカヤマシログモ」

水中生活を行う唯一のクモ「ミズグモ」

ハチスペシャル

寄生バチや狩りバチなど多様化がもの凄いハチの世界を紹介!

世界最大のスズメバチ「オオスズメバチ」

とても長い産卵管を駆使し、樹木中のカミキリムシに捕食寄生する「ウマノオバチ」

ゴキブリに毒を打ち込みゾンビ化し巣穴へ誘う「エメラルドゴキブリバチ」

エメラルド
ゴキブリバチ

カマ使いのハンター

これぞ収斂進化!カマのような前脚をもつ動物集合!

可憐な花に擬態「ハナカマキリ」

「カマバチ」、「カマバエ」、「カマキリモドキ」、「ミズカマキリ」、「ザトウムシ」など、
種をまたいでカマ使いのハンターを紹介

ハナカマキリ

第4章
フォーエバー・大地のハンター

人間による思慮の無い活動のために数を減らしたハンター、逆に生息域を広げてしまったハンター。本章では、外来のハンターと、人間によって絶滅してしまったハンターを取り上げ、人間と地球の仲間たちとの持続可能なバランスある関係づくりに向けたメッセージを発信します。

Page Top